【最強】藤井システム

将棋

四間飛車とは

主に後手番の戦法で飛車を右端の4(先手なら6)筋に振る戦法です。古くから存在していましたが、昭和時代には居飛車や三間飛車に比べて人気が低く、振り飛車党の中でも少数派でした 。

しかし、平成時代に入ると、四間飛車の研究が進み、多くの棋士が指すようになりました 。特に、1995年に藤井猛九段が考案した藤井システムは、四間飛車の歴史を変えるほどの衝撃的な戦法でした 。

藤井システムは、玉を動かさずに攻めるという斬新な戦法で、居飛車穴熊や左美濃などの堅い囲いに対して有効でした 。従来のセオリーを覆し、四間飛車の可能性を広げました 。

歴史的な変革

四間飛車は、藤井システムの登場によって歴史的な変革を遂げ、現在でも四間飛車は人気の高い戦法であり、その中心的な役割を果たしています 。

居飛車穴熊に組もうとすれば、居玉で叩き潰す。居飛車穴熊以外なら美濃囲いに入城する。

居玉のまま叩き潰す

平成の初期までは、振り飛車は飛車を振ったら玉を2八に移動してから美濃囲いの形を作るのが当然の手順でした。しかし、居飛車穴熊の台頭により美濃囲いでは堅さで不利になるという問題があり振り飛車の時代は終わりかと思われましたが、相手が穴熊に組もうとすれば玉を移動する手を省略し居玉のまま叩き潰す、穴熊以外なら入城という今までには無かった考え方で振り飛車が復活しました。

早い段階で端歩を受けるかどうかを打診

相手が居飛車穴熊に組もうとしているかどうかは、早い段階で端歩を受けるかどうかを打診することである程度の予想ができます。端歩を受けなければ居飛車穴熊に組む可能性が高く、相手が端歩を受ければ、美濃囲いに入城しましょう。

  • 最初は普通に四間飛車を目指す。王様は動かさない。
  • 相手の王様が囲いに動いたら、端歩を突いて穴熊かどうか確認する。
  • 桂馬を跳ねられるように準備する。角道も通す。
  • 香車が上がった瞬間を逃さずに桂馬を跳ねる。角と連動して王様を狙う。
  • 角が逃げたら急所の歩を突く。

藤井システムの特徴

特に、居飛車穴熊や左美濃といった、じっくり囲いを組んでくる相手に対しては効果的です。

桂馬を跳ねて角と連動

居飛車穴熊に対しては、相手が穴熊を完成させる前に桂馬を跳ねて角と連動させて王様を狙います。

相手が穴熊を放棄して急戦に切り替えたら、自分の玉の囲いや逃げ道を確保しながら受け切りましょう。

このようにして相手の囲いを完成する前に崩していくのが藤井システムの特徴です。もちろん、相手も対策を持ってくる可能性がありますので、臨機応変に対応する必要があります。

左美濃に対しては、相手が理想形を作らせないように玉頭から攻めます。

仕掛けのタイミング

相手の玉の逃げ道を断ちながら、角や銀などで崩していきます。
相手の囲いの形や進行度によって、自分の駒組みや仕掛けのタイミングを変えること。例えば、相手が左美濃なら玉頭戦に持ち込むことを狙い、相手が穴熊なら囲いが完成する前に攻めることを狙うこと。

桂馬と角の連動を意識すること。桂馬を跳ねるだけではなく、角の利きも活かすことで相手の王様に強く迫ることができます。また、角道を通すためには歩の突き合いや銀の打ち込みなども考える必要があります。

最適な攻め筋

展開によっては、飛車を右にも左にも出していけること。これにより攻撃の幅が広がり、相手の囲いに応じて最適な攻め筋を選べます。

玉を全く囲わないこと。これにより1手でも早く攻めていけるだけでなく、相手が急戦に切り替えた場合は囲いを組み始めて受けることができます。

「戦法」ではなく「システム」

以上のように、藤井システムは自陣全体の攻守の駒組みに柔軟性があり、相手の動きに応じて対応することができます。そのため、「戦法」ではなく「システム」と呼ばれる由縁でもあります。

理想形

藤井システムの理想形とは、相手が居飛車穴熊や左美濃に組もうとしているときに、自分は玉を全く囲わずに速攻を仕掛けることです。相手の囲いが完成する前に桂馬を跳ねて角と連動させて王様を狙います。相手の玉の逃げ道を断ちながら、角や銀などで崩していきます。

▲2五桂と跳ねて角と連動させて後手玉を狙う。▲3三角成と成って後手玉に迫る。

相手の囲いを完成する前に崩していきましょう。

左美濃なら玉頭戦

相手の囲いの形や進行度によって、自分の駒組みや仕掛けのタイミングを変えること。例えば、相手が左美濃なら玉頭戦に持ち込むことを狙い、相手が穴熊なら囲いが完成する前に攻めることを狙うこと。

桂馬と角の連動を意識すること。桂馬を跳ねるだけではなく、角の利きも活かすことで相手の王様に強く迫ることができます。また、角道を通すためには歩の突き合いや銀の打ち込みなども考える必要があります。

急戦調

藤井システムは、居飛車穴熊や左美濃に対しては有効ですが、相手が急戦調に指してくる場合は注意が必要です。

特に、右銀急戦や端攻めなどで反撃されると自分の玉も危険にさらされることがあります。

その場合は、普通の四間飛車美濃囲いで受けましょう。

相手の攻め駒を取り込む

相手の反撃に備えること。藤井システムは積極的な攻め方ですが、その分自分の玉も危険にさらされることがあります。特に、相手が急戦調に切り替えたり、端攻めを逆襲してきたりする場合は注意が必要です。自分の玉の囲いや逃げ道を確保することや、相手の攻め駒を取り込むことなどを心がけましょう。

反動に注意

藤井システムは、玉を全く囲わないで速攻を仕掛ける戦法ですが、その分自分の玉も危険にさらされることがあります。特に、相手が急戦調に切り替えたり、端攻めや雀刺しなどで反撃してきたりする場合は注意が必要です。

また、藤井システムは、相手の囲いの形や進行度によって、自分の駒組みや仕掛けのタイミングを変えることが求められます。相手の対策にも臨機応変に対応する必要があります。そのため、藤井システムは独創的でありながらも難易度の高い戦法といえます。

三間飛車でも使えます

玉の移動をぎりぎりまで保留し、居飛車側の戦術に応じて形を決めましょう。急戦に対しては玉を囲いに行き、持久戦に対しては端攻めを狙います。

しかし、三間飛車藤井システムは比較的新しい戦法であるため、まだ研究が進んでいない部分や未知数な部分が多いこと。相手に新手や新戦法を指されたときに対処する方法が確立されていない場合があります。

斜め棒銀や4筋の攻めなどで反撃されると自分の玉も危険にさらされることがあります。

三間飛車トマホークとの比較

トマホークとは、三間飛車の戦法の一つで、居飛車穴熊に対して用いられるものです。藤井システムとの大きな違いは、特に相手が5筋の歩を突かない持久戦や居飛車穴熊に有効であることです。

トマホークの特徴は、右の桂馬を▲1七桂~▲2五桂として使っていくことです。1筋からの端攻めと、角のラインを使った攻めで一気に穴熊を崩します。

トマホークは5筋の歩を突かない穴熊に対して用いるが、藤井システムは5筋の歩を突く穴熊にも用いることができる。

トマホークは右桂馬を端から使うが、藤井システムは右桂馬を中央から使うことが多い。

トマホークは角道を開けて相手玉を睨むが、藤井システムは角道を閉じて自分玉を守ることが多い。

居飛車側の主な対策

急戦に変更する

藤井システムは穴熊や左美濃に対して強いですが、急戦には弱いです。穴熊に組まずに、右銀急戦や5筋位取りなどで攻めることで、藤井システムの狙いを外すことができます。袖飛車からの急戦を見せて居玉を牽制しましょう。玉を移動させることで端攻めからの反動が強くなります。

それでも無理矢理穴熊に組む

・▲2五(△8五)桂を跳ねさせない。△2四(▲8六歩)歩と突いて無理矢理穴熊に組む。

・▲3六(△7四)歩で居玉を牽制する。

以上のように、藤井システムは最強戦法(システム)の一つですが、無敵ではありません。居飛車側も細心の注意を払って駒組みを進めれば、互角以上の戦いができることがあります。

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