相矢倉

将棋

歴史と伝統の矢倉

相矢倉は、相掛かり、角換わり、横歩取りと並ぶ相居飛車4大戦法の一つで、お互いに矢倉囲いに組んで戦う戦型のことを言います。矢倉には多くの形がありますが、ここでは最も代表的な金矢倉について解説します。角道を閉じてしっかりと守りながら、玉を囲う囲い方です。また、互角の形から自分の得意な戦型に持ち込める可能性が高いです。相手が振り飛車なら、矢倉は相性が悪く不利になりやすいので注意してください。

矢倉24手組

相矢倉では、初手から24手の指し方が定跡化されており、矢倉24手組と呼ばれています。

5手目の▲6六歩では▲7七銀と指す手もあり、後に▲6六銀と中央に出る狙いも兼ねて、急戦に対応しやすい意味があります。

25手目は▲3七銀 △6四角と進むのが一般的。その後は、▲1六歩▲2六歩と突く指し方や▲4六銀、▲3七桂や▲4六角など多岐に渡る。▲4六歩と突いている形なら▲4五歩から仕掛けるのが基本です。

急戦策に対しては対応が難しく、囲う前に崩されることもあるので相手の出方に注意しましょう。

金矢倉崩しは、3二(7八)の金を狙うことです。

雀刺し

矢倉崩しの一つに雀刺しという戦法があります。これは、矢倉囲いに対して端に飛車、角、桂、香を集中させて一気に突破する指し方です。

雀刺しは、玉を囲ってから攻撃態勢を築くことが多く、端から銀を切って香車を活用します。

1筋に狙いを定める

▲3七銀から▲2六銀、▲1七香、▲1八飛と1筋に狙いを定める。あとは機を見て▲1五歩から仕掛けましょう。分かりやすい手順なので、相手からも対応されやすいですが相手玉に近いエリアで戦いが起きるので分かっていても止めるのは難しいです。特に中級者同士では一点集中の破壊力は非常に効果的だと思います。

主な対策

矢倉の銀を2二に置くことで端を強化し、予め玉を端から遠ざけておくことで雀刺しの一点集中の攻めに対して堅牢な守りを築くことができます。

相矢倉は持久戦向きで、変化がたくさんあり、とても難しいですが、ここでは一つの戦い方を示します。

相手が端歩を突き合ってきた場合:銀から攻めていき、銀香交換の駒損でも端を突破。棒銀対策のため矢倉では端歩は受けない方が良いことも多いです。

相手が端歩を突き合わなかった場合:桂馬から攻めていき、桂馬成り捨てから端を突破。

相手が端歩を取り返さなかった場合:飛車や角で端を攻め潰します。

急戦矢倉

玉は入城しない

急戦矢倉とは、矢倉囲いに対して玉を入城せずに攻撃態勢を敷く戦法です。銀と桂を押し上げて6筋や4筋から攻め込んだり、角を生かして5筋の歩を交換したりすることが多いです。特に相手が矢倉囲いに組むのが遅い場合や、矢倉囲いに不慣れな場合に有効です。また、相手が端歩を突き合わなかった場合や、端歩を突き合っても△8五歩と伸ばさなかった場合にも有効です。これらの場合は、先手の銀や角が活きやすくなります。

急戦矢倉の指し方は、相手の形や反応によって変わりますが、代表的なものは以下の通りです。

角のラインを生かす

先手番で▲3六歩▲4六歩▲4七銀▲3七桂と進めて、▲6六銀と銀を進出させる作戦です。これは、相手の7七銀や6六歩を狙うとともに、8八角のラインを生かして攻めることができます。

守りは薄くなりますが、攻撃陣は美しく、さまざまな攻め筋を組み合わせて攻めていくことができます。しかし、指しこなすには難しい戦法でもありますので、注意が必要です。

後手番でも矢倉に組まず、角筋を通したまま△6四歩を突き△7三桂と跳ね、6筋に戦力を集中して先攻できます。6筋をこじ開けて9九の香車を取りながら馬を作るのが狙いの一つです。

急戦矢倉の対策は、自分の玉の囲いよりも相手の玉の攻め方に注目することが大切です。相手の攻め筋を防ぎつつ、自分も積極的に仕掛けていくことができれば、有利な展開に持ち込むことができるでしょう。

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